中高年「偽関節」リスク 家庭での“足をゴン”は甘く見ない

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「一般的に中高年の骨折は若い頃と違って治りにくいとされます。それは骨が弱いうえに折れた骨を修復する力も弱くなるためです。Aさんも『年のせいで治りが遅いのか』と思っていたそうですが、骨折治療に必要とされる期間が過ぎても骨がくっつかない。改めて検査をしたところ『偽関節』だったことがわかったのです」

 治りづらい骨折は骨折全体の8~10%程度あるといわれ、偽関節はそのひとつ。折れた骨がグラグラしてくっつかずに動いている状態を言う。皮膚から骨が飛び出す開放骨折は細菌感染が起きやすく回復に必要な仮骨ができにくいため、偽関節リスクが高いといわれるが、喫煙、糖尿病、栄養不足もそのリスク要因だとされる。

 そもそも折れた骨がくっつくのは、骨折後、破骨細胞によって不要なものが始末され、骨芽細胞によって新たな骨ができるからだ。

「骨が折れると骨組織が破壊されて骨を覆っている骨膜が切れ、血管も切断されて骨折によって生じた間隙に血腫ができます。この時期は炎症期と呼ばれ、炎症が起きて痛みがあります。ギプスなどで固定してしばらく経つと、骨折した場所に周囲から幼若結合組織細胞が入ってきて骨髄に肉芽組織が形成され、切れてしまった毛細血管も新たに作られて、壊死した細胞が吸収されていきます。やがて軟骨が徐々に形成されて骨折した骨と骨がくっつきます。これを仮骨といいます。この段階が修復期です。仮骨は時間が経つと強度を増し不要なものは破骨細胞により吸収され、骨芽細胞によって新たな骨が形成され(再造成期)、骨は元に戻るのです」

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