インフル対策にアルコール消毒と加湿は役立たずに? 医師が感染力を語る
インフルエンザ患者が、昨年の5倍の早さで急増している。
信州大学農学部の河原岳志准教授によれば、インフルエンザは毎年1000万人前後が感染。これは日本人10人に1人に相当する。咳1回でウイルスが5万個、くしゃみ1回でウイルスが10万個ばらまかれる。これらのウイルスは空気中に浮遊するが、2~3時間、感染力を保っているというから恐ろしい。
「最新の研究内容では、粘液中でアルコール系消毒効果が減り、さらに湿度が高くても感染力が下がらないことが分かっています」(河原教授)
これまでウイルス粒子を賦活化するのに、アルコール消毒が有効だと考えられてきた。ところが、実は長い時間をかけないと意味がなく、アルコール消毒をしても感染力が落ちない。また、ウイルスは湿度に弱いと言われてきたが、湿度を厳密にコントロールした状況でも、ウイルスは感染力を保っていたという。
かつて、インフルエンザ対策のひとつに「うがい」が挙げられていた。ところがいまは、「うがい」は推奨されていない。インフルエンザウイルスは喉に付着してから短時間で細胞内に侵入するため、うがいで洗い流しても、間に合わない可能性があるからだ。
それと同様、インフルエンザ対策におけるウイルス消毒や湿度アップが今後推奨されなくなるかもしれない。しかし今のところは、「やらないよりやった方がいいかな」くらいで続けるか。