乳がん<3>「術前補助薬物療法」は抗がん剤の組合せで3~6カ月間
乳がんと診断されても、いきなり手術になることは、ほとんどありません。まずは「術前補助薬物療法」が始まります。薬で腫瘍を小さくできれば、再発リスクが下がるからです。また全切除が必要とされていた患者でも、部分切除が可能になることがあります。
ガイドラインの初版(2004年)の時点では「手術可能な早期乳癌」(一般的にステージⅠないしⅡAまで)に対してのみ「乳房温存率を向上させる」効果があるので”弱く推奨する”とされていました。使用するのは「アンスラサイクリン系薬剤とタキサン系薬剤」(いずれも抗がん剤)で、ガイドラインには期間は明記されていませんでしたが、通常は3~6カ月でした。
解説によれば、この治療で2~3割の患者さんが、完全奏効(画像などに腫瘍が写らないほど縮小した状態)を期待できるとのこと。ただし薬を止めれば徐々に復活してくるので、完治したのではありません。手術は必要です。
現在(2018年版および追補版)では、術前薬物療法の対象は「手術可能な浸潤性乳がん」(一般的にステージⅢまで)に拡大されています。また抗がん剤だけでなく、ホルモン療法やHER2阻害剤も使えます。