アメリカのがん死亡率が過去30年で29%低下したのはなぜか
アメリカでのがん死亡率が1991年以降、29%も低下――。アメリカがん協会から発表され、話題を呼んでいます。これを数に換算すると、亡くなった人の数が290万人減少したことになるそうです。
死亡率低下の最大の理由は、肺がんによる死者の減少です。
肺がんの死者は乳がん、大腸がん、前立腺がん、脳腫瘍をすべて合わせた数をしのぎ、全体の4人に1人を占めているため、その減少が全体の数字を引き下げたことになります。
その肺がんによる死者が減少した理由は、喫煙率の低下と肺がん治療の進歩です。
1960年代には40%を超えていたアメリカ人の喫煙率は、2015年には14%を割るまで大幅に下がりました。たとえ今は禁煙していても、かつての喫煙が原因で肺がんになるケースもまだ少なくありません。しかし今後、その数は減っていくだろうと予測されています。
さらに、最新のイメージング技術によりがんのステージ診断がより正確にできるようになったこと、侵襲の少ない手術の進歩、15年以降に始まった免疫療法も、死亡率低下に大きく貢献しました。