人気ドクターが指摘 「目」の問題解消がボケ対策に役立つ
「すでに認知症は発症しているが、目をよくしたら、自力で歩いたり、身の回りのことができるようになった」というケースもあるという。
視覚の低下が認知症を発症しやすくするということは、論文でも発表されている。25万752人を対象にした中国の研究では、視覚・聴覚障害がなければ認知症の発症率は0・41%だが、視覚障害があると0・83%と2倍までリスクが増えた。この論文では聴覚障害と認知症の関係も指摘しており、視覚障害と聴覚障害の両方があると、3倍の1・27%までリスクが増えた。視力の悪い人の方が、見え方がいい人に比べて2~3倍認知症になりやすいという結果は、ほかの研究でも出ている。
また、英国の研究では、認知症の人の33・5%は視力が0・5以下と悪かった。視力の悪さは、目の病気に限らない。メガネが合っていないこともあるからだ。本を読めない認知症の人に合ったメガネをかけてもらうと、3分の2の人が本や新聞を読めるようになったという報告もある。
「目からの情報は膨大です。目に問題があって見え方が悪くなると、その膨大な情報がシャットアウトされるので、認知機能が衰えて、認知症を引き起こしてしまう。ただし、目が見えにくいから認知症のような症状がある、または、目が見えにくいから認知症を発症しているかどうかは、判別しづらい。だから、認知症発症前には眼科を受診し、病気があれば治療を受ける、認知症発症後は目の検査を定期的に受けることが大切です」