骨も皮も血合いも…サバの豊富な栄養を丸ごといただく

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保存食材(2)サバ缶

 保存食材の2回目は数年前から大人気のサバ缶です。

 サバはただでさえ、栄養が豊富です。良質なタンパク質、新陳代謝を促進するビタミンB2、カルシウムの吸収を助けるビタミンD、その脂質には脳や血管の老化を防ぐDHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などが多く含まれています。

 サバ缶には身だけでなく骨、血合い、皮などが丸ごと入っています。

 骨にはカルシウム、血合いにはDHAやビタミンD、皮にはビタミンB2が多いですから、その分、栄養も豊富です。EPAは水分に溶ける性質があるので、缶の中身は煮汁もあわせてすべて調理に使いたいものです。

 前回、保存食材1回目の干しシイタケは、生以上にうま味も栄養も豊富だと書きましたが、サバ缶も同様です。生のサバを塩焼きにしてもみそ煮にしても骨、脂、血合い、煮汁を残さず食べるのは困難ですけど、サバ缶にはそれらがすべて含まれていますから栄養分を余すところなくいただけるのです。

 今回はサバ缶を使ったディップソースをバゲットとともに召し上がっていただきます。このソースはサンドイッチともよく合います。もうひと品はサバ缶を使ったカレーです。カレーはご飯にもパスタにも合います。

■ディップソース バゲット

《材料》
◎サバ缶  1缶180グラム
◎玉ネギ  2分の1個のみじん切り
◎ピクルス  みじん切り大さじ2
◎マヨネーズ  大さじ2
◎サワークリーム  大さじ2
◎白胡椒  適宜
◎サバ缶の汁  大さじ3
◎レモン汁  大さじ1
◎バゲット  薄切り適宜

《作り方》
 バゲットに霧を吹いてオーブントースターでカリッと焼く。ボウルにサバ缶の中身を移し、玉ネギ、ピクルス、マヨネーズ、サワークリーム、白胡椒、サバ缶の汁、レモン汁を加えて、よく混ぜる(写真)。冷蔵庫で30分おき、焼いたバゲットといただく。

■サバ缶の簡単カレー


 オリーブオイル大さじ1、ニンニクのみじん切り小さじ1を鍋に合わせて中火で炒める。玉ネギ半個分の薄切りを加えて炒めたら、カレー粉大さじ1を入れてさらに炒める。サバ缶180グラムの中身を汁も含めてすべて加え、混ぜながら火を通す。醤油大さじ1、塩胡椒で味を調え、ミニトマト5個のヘタを除き4つ切りにしたものを加える。

▽松田美智子(まつだ・みちこ)女子美術大学非常勤講師、日本雑穀協会理事。ホルトハウス房子に師事。総菜からもてなし料理まで、和洋中のジャンルを超えて、幅広く提案する。自身でもテーブルウエア「自在道具」シリーズをプロデュース。著書に「季節の仕事 」「調味料の効能と料理法」など。

生命にとっての必須微量元素セレンの正体

 大学院でボロ雑巾のように研究修業に励んでいた頃、となりの研究班がセレンをテーマにしていた。なので門前の小僧のたとえ通りセレンのことに詳しくなった。セレンとは原子のひとつ。生命にとっての必須微量元素。セレンの摂取が不足すると、抗酸化作用に関わる酵素の機能が低下し体調不良となる。また前立腺がんのリスクファクターにもなる。

 ただし日本人がセレン欠乏に陥ることはまずない。海産物にセレンがたっぷり含まれているからである。セレン補給の代表食材がサバ缶である。缶詰の魚といえば従来はツナ缶だったが、サバ缶はそれを御して、このところ大ブームになっている。安くて量が多い。そのままおかずになる。非常食にもなる。おなじみの水煮、みそ煮だけでなく、最近は多彩な味付けのサバ缶がある。サーディンのようなオリーブオイル漬け、レモンバジル風味など。フランス語の「元気?=■a va?(サヴァ)」をサバにかけたブランドもある。素材に使われるサバは脂が乗る旬の秋サバや寒サバが使われることが多い。この脂にも妙がある。サバは漢字で書くと鯖。つまり青い魚。必須脂肪酸で、免疫作用や神経作用の調節に重要なEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサヘキサエン酸)が豊富に含まれている。

 サバ缶のラベルを見ると、ちゃんとその含有量が表示してあるので、今度買う時、見てください。

▽福岡伸一(ふくおか・しんいち)1956年東京生まれ。京大卒。米ハーバード大医学部博士研究員、京大助教授などを経て青学大教授・米ロックフェラー大客員教授。「動的平衡」「芸術と科学のあいだ」「フェルメール 光の王国 」をはじめ著書多数。80万部を超えるベストセラーとなった「生物と無生物のあいだ」は、朝日新聞が識者に実施したアンケート「平成の30冊」にも選ばれた。

※この料理を「お店で出したい」という方は(froufushi@nk-gendai.co.jp)までご連絡ください。

【連載】ようこそ!不老不死レストランへ

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