共感を超え、重篤ながん患者にずっと付き添う看護婦がいた
その後も、A看護師は疲れを隠しながら、制服でも私服でも、重篤なGさんの看護にあたりました。
5日後、Gさんは亡くなりました。Gさんの母親は、「Aさんには、どんなに感謝しても感謝しきれない。息子は最期まで幸せだった。Aさんは息子の幸せを守ってくれた」と話されました。
しかし、A看護師の落胆は尋常ではありませんでした。Gさんが亡くなってからしばらく休んでいたのですが、結局、病院を辞めてしまいました。その後、どうされたかは分かりません。
仕事と恋愛の公私混同だったと言えますが、人生、命をかけて、愛する人を守った、看護した。A看護師は本望だったのだろうと思います。
子供たちが「看護師になりたい」と夢を持ち、看護学校に入学し、そして病院に勤務した時、自分の夢と現実とのギャップに悩む新人看護師はたくさんいます。看護師は毎日、毎日、病院の規則に縛られながらも、「病気の患者の役に立ちたい。救ってあげたい」という優しい気持ちで頑張ってくれています。
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