共感を超え、重篤ながん患者にずっと付き添う看護婦がいた
小中学生の女の子が将来の夢として「看護師になりたい」と話すことがあります。祖母が病院で亡くなった時に、見舞いに行って優しい看護師さんに憧れたと話してくれる女の子もいます。
たしかに優しい心を持った看護師はたくさんいらっしゃいます。私が一緒に働いた看護師でも、進行したがん患者を看護していて恋愛に発展し、結婚。しかし患者は亡くなり、残された子と共に歩むことになった方は1人や2人ではありません。
それだけ心の清い、優しい、一途な人たちがいます。がん患者で亡くなるのが分かっていても結婚され、患者との間に子を授かり、母子家庭となってしまったものの、お子さんを立派に育てられてます。
がん看護では「共感」が大切と言われ、そう教育されます。共感とは、患者が「話をよく聞いてくれて、この人は分かってくれている」と感じることだと思います。
■一途な優しい気持ちで頑張っている
かつて、そんな「共感」を超える事態に遭遇したことがあります。若いがん患者のGさん(27歳・男性)が重篤となって死に直面している時、思わぬ行動に出たのがA看護師です。職員に対しても管理が厳しい最近の病院では考えられない行動でした。