副腎<下>カンジダ菌増殖による「リーキーガット」は怖い
「副腎疲労に至るプロセスは十人十色ですが、副腎疲労を起こしている人に共通するのはほぼ100%、腸に炎症を起こしていることです。副腎疲労の認知が広まっている米国では、重症度に関係なく、治療は必ず腸の炎症を抑える食生活の見直しから始まります。軽症の人は、それだけで治ってしまうケースが非常に多いのです」
腸の炎症といっても、副腎疲労に関係するのは大腸ではなく、「小腸」の方。
健康な人の場合、小腸にはほとんど菌がすんでいなくて、菌がたくさんすんでいるのは大腸だけとされてきた。しかし、最近では小腸にも少しの菌がいることが分かってきている。
その常在菌のひとつである「カンジダ」が、副腎疲労の人は小腸の中で増殖していることが多いという。
「このカンジダが引き起こす病態が『リーキーガット(腸漏れ症候群)』です。腸粘膜、腸管壁を傷つけて、小腸の細胞と細胞の間に隙間ができてしまい、小腸内の菌や毒素、未消化の食べ物などが漏れ出てしまうのです。漏れ出た異物は血中に入り込むので、免疫機能による抗体ができ、その異物を攻撃して炎症が起こります。コルチゾールは腸粘膜などの傷つけられた組織の炎症や、抗体による攻撃の炎症を抑えることに大量に使われます。ですから、リーキーガットになると副腎が非常に疲れるのです」