青島周一
著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

社会・心理的要因がもたらす健康リスクは侮れない

公開日: 更新日:

 病気の発症は単一の原因だけによって生じることは珍しく、一般的には複数の原因が時間をかけて病気の発症リスクを高めます。たとえば、喫煙は肺がんをもたらす原因のひとつといえますが、数年ほど喫煙をしたところで、すぐに肺がんになるわけではありません。喫煙だけでなく、遺伝的要因や生活環境など、さまざまな要因が、ゆっくりと時間をかけ、複雑に影響を及ぼし合いながら肺がんの発症リスクを高めるのです。

 死亡リスクに影響を与える要因はさらに複雑といえますが、具体的にはどんな要因がどれほど影響を及ぼしているのでしょうか。米国科学アカデミー紀要の電子版に、死亡リスクに影響を及ぼす因子と、その関連性の強さを検討した研究論文が2020年6月22日付で掲載されました。

 この研究では米国に在住の1万3611人(平均69・3歳、女性58・6%)が対象となり、6年にわたり追跡調査が行われています。なお、研究結果に影響を与えうる年齢、性別、人種などの因子について統計的に補正をして解析されました。

 その結果、死亡のリスクは、喫煙者で1・91倍、過去の喫煙歴で1・32倍、過度の飲酒歴で1・36倍に増加したほか、離婚歴で1・44倍、失業歴で1・32倍、経済的困窮で1・32倍、人生に対する満足度が低い人で1・31倍、否定的な感情を有する人で1・23倍、統計的にも有意に高いことが示されました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

    ソフトB山川穂高「無神経ぶり」改めて露呈…31試合ぶり本塁打も身内から異論噴出

  2. 2
    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

    小池都知事が“アキバ降臨”も演説ドッチラケ…若者文化アピールに「うそつき!」とヤジ飛ぶ

  3. 3
    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

    ソフトB山川穂高 数字では測れない「4番の価値」…打てない時期もチームの躍進に大貢献

  4. 4
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  5. 5
    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

    ドトールに注がれる「石丸効果」都知事選でヒモ付き隠さず3番手から猛追、株価も爆上がり

  1. 6
    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

    石丸伸二候補に大逆風…「恫喝」訴訟で2連敗、都知事選後の国政進出シナリオも狂いが

  2. 7
    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

    都知事選最終盤に飛び交う「蓮舫狙い撃ち」の怪情報…永田町に出回る“石丸2位”データの真の狙い

  3. 8
    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

    巨人・桑田真澄二軍監督が「1人4役」大忙し…坂本勇人を感激させた“斬新アドバイス”の中身

  4. 9
    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

    中日ポスト立浪は「侍J井端監督vs井上二軍監督」の一騎打ち…周囲の評価は五分五分か

  5. 10
    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題

    大食いタレント高橋ちなりさん死去…元フードファイターが明かした壮絶な摂食障害告白ブログが話題