病気による早期死亡は運動で回避できる 英国専門誌で論文
運動は健康によい影響をもたらすと考えられていますが、特定の病気に関連した死亡のリスク(たとえば認知症や糖尿病による死亡)との関連性について、明確なことはよく分かっていませんでした。そんな中、身体活動とさまざまな原因による死亡リスクの関連性について検討した研究論文が、英国医師会誌の電子版に2020年7月1日付で掲載されました。
この研究では、米国に在住している18歳以上の47万9865人が対象となりました。研究参加者の身体活動量は、不十分な身体活動量の人、有酸素運動(軽度~中等度の運動を週に150分以上、もしくは強度の運動を週に75分以上)を行っていた人、筋力強化運動(ウエートリフティングのような筋肉を強化するための運動)を行っていた人、有酸素運動と筋力強化運動の両方を行っていた人の4つのグループに分類され、さまざまな疾患による死亡のリスクが比較されました。
なお、研究結果に影響し得る年齢、性別、喫煙・飲酒状況、慢性的な疾患の有無などの因子について、統計的に補正を行い解析されました。
約9年にわたる追跡調査の結果、すべての原因による死亡リスクは、不十分な身体活動量の人に比べて、有酸素運動を行っていた人で29%、筋力強化運動を行っていた人で11%、両方を行っていた人で40%、統計的にも有意に低下しました。この傾向は、アルツハイマー型認知症、糖尿病、腎臓病、インフルエンザ及び肺炎による死亡リスクについても同様に示されました。
身体活動量が多い人は、そうでない人に比べてもともと健常者が多かった可能性はあります。ただ、適切な身体活動は健康状態の維持だけでなく、さまざまな疾患による早期死亡のリスクを低減できる可能性が示されています。