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青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

新型コロナウイルスに対する心理的影響は性格による?

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 新型コロナウイルスの感染拡大は、私たちの生活に大きな影響を及ぼし続けており、その心理的な負担は決して小さなものではないでしょう。とはいえ、すべての人が同じように不安を抱え、同じように感染対策に関心を持ったわけではないかもしれません。感染を極度に恐れる人がいる一方で、それほど意識せず生活を続けた人もいることでしょう。

 日本人を対象に、人の性格と新型コロナウイルスに対する心理的影響の関連を検討した研究論文が、科学と医学分野のオープンアクセスジャーナル誌「プロスワン」の電子版に2020年7月10日付で掲載されました。

 この研究は、緊急事態宣言が発出された翌日の4月8日に実施されたアンケート調査で、日本全国から1856人(平均46・7歳、男性56・3%)が回答しました。オンラインで行われたこの調査では、回答者の性格特性と新型コロナウイルス感染症に対する不安やストレス、予防行動などとの関連について統計的な解析が行われています。

 その結果、「外交的」「勤勉的」「開放的」「協調的」「神経症的」、いずれの性格においても予防行動の積極性の増加と関連していましたが、神経症的な性格では、ストレス、不安、抑うつレベルの増加と関連していました。他方で、協調的な性格では不安やストレスレベルの低下と関連していました。また、勤勉的な性格の人では抑うつレベル低下との関連を認めています。さらに、男性は女性に比べて、感染状況を過小評価しがちであることも示されました。

 感染拡大によって受ける心理的な影響は、人の性格によってさまざまであることが示されています。こうした個人差に配慮した感染対策やケアの実施で心理的な負担も軽減できるかもしれません。

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