軽症がいきなり重症化「幸福な低酸素症」はなぜ起きるのか?

公開日: 更新日:

 呼吸の調節は延髄を中心にした呼吸中枢で行われ、脊髄を介して横隔膜や肋骨筋などの呼吸器の筋肉に情報が伝わり呼吸運動が行われる。

 呼吸中枢は、大動脈や頚動脈に接して動脈の血液ガス(酸素、二酸化炭素、pH)の変化を感知する化学受容体(センサー)、呼吸運動を感知する気道、肺、胸壁の機械受容体からの情報などを迷走神経や舌咽神経などを介して得ている。

「通常、二酸化炭素が増加、酸素不足で呼吸困難を生じますが、新型コロナウイルス感染症の患者の中には血液中の酸素飽和度が通常の90%以上から大きく低下していながら、比較的楽に呼吸できている人がいます。ハッキリした原因はわかっていませんが、ウイルスによりセンサー機能が障害され、二酸化炭素の増加と酸素不足を認識できなくなっているのかもしれません」

 そんなことがあるのか、と思ってしまうが、慢性肺疾患の場合、炭酸ガスを監視するセンサーが機能しないため呼吸の調節は酸素の量の変化だけで行われ、少し酸素を吸うだけで呼吸中枢が十分だと思い込むことによって、呼吸が止まるケースがあるという。

 ちなみに、新型コロナウイルス感染症になると一時的に味覚や嗅覚を失う人も多い。これは呼吸運動に関係する神経経路が味覚や嗅覚の経路と共有されていることと関係しているとの見方もある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動