紺と黒の区別があいまいになったら… 色覚異常かもしれない
後天的な色覚異常は病気が原因で起きることもある。例えば網膜疾患だ。
「網膜には赤や緑を感じる錐体細胞に比べて青を感じる錐体細胞の数が圧倒的に少なく、全体の数%にすぎません。そのため、網膜に問題が起きると、すぐに青色が見えづらくなります。ですから加齢黄斑変性などの網膜疾患では青の色覚異常が起きやすいのです」
緑内障では、眼圧が色を感じる錐体細胞にも障害を与える。
「青を感じる錐体細胞は赤や緑の錐体細胞よりも細胞が大きいため眼圧の影響を受けやすい。これも青色の色覚異常になりやすい原因と説明されました。しかし、最近では網膜の中心部では赤や緑の錐体細胞もダメージを受けることがわかっており、青だけでなく赤や緑もわかりづらくなるとされています」
後天色覚障害を起こすもうひとつの原因が視神経疾患だ。目から脳に情報を伝える視神経に障害があると、色覚障害になりやすいという。
「また、大脳の後頭葉下部には色を感じる色覚中枢があります。この部分に脳梗塞等が生じると、中枢性色覚異常が起きます。その場合には他の視覚機能は全て保たれたまま、色覚だけを失い、すべてがモノクロになってしまいます」
色覚異常は自覚もなく生活に支障がでない。そのため放置されがちだが、それは睡眠障害や大事故につながりかねないことを知っておくことだ。