「O-リングテスト」がん治療に有効である科学的根拠はない
がんを治す目的で、O-リングテストと漢方薬を勧める医師もいるようです。O-リングテストを支持するある医師は、抗がん剤治療や放射線治療よりも、漢方薬の方が治療成績は良いと言うのです。もしもそうであるならば、それを唱える医師たちは、まずしっかりした科学的な証拠を出すべきです。そして、がんの専門の学会で議論されるべきだと思います。
漢方薬は、それなりに体調を整えるのに役立つかと思いますが、がんを治すのは無理なのです。 Bさんのように、科学的な仕事をされてきた方でも、ご自身ががん患者となり、ステージ4と告げられ、「治らない」と言われると、科学的根拠がはっきりしない手法にまで興味を示すのは無理もないのかもしれません。しかし、そこがO-リングテストを勧める側の付け目になるのだと思います。
私はBさんの相談にこう答えました。
「科学的根拠がない、そして副作用がないということ、そこからまず『怪しい』と疑わなければなりません。私は、少なくともがん治療においてO―リングテストが有用とは思えません。まずは現在治療を受けている担当医と相談するべきです。もしO-リングテストを受け、その結果で薬の量を変えるようなことがあれば、そしてそのことを担当医が知らなかったとなれば、お互いの信頼関係が崩れます。被害に遭うのはBさん自身なのです」
担当医と副作用についてもよく相談しながら、科学的根拠のある治療をしっかり受ける。それが大切だと思います。