ルネサンス期の“3大巨匠”ラファエロの悲恋と瀉血療法
孤児から成り上がったイケメン芸術家のラファエロの悲しいところは、本命の女性がいたにもかかわらず、スポンサーの意向を忖度して、好きでもない女性と婚約したり、教会での出世をちらつかされて結婚をためらっているうちに家庭を持つことができなくなり、女性遊びにふけっていたことです。しかも、死につながる病気についても医師にさえ正直に話ができなかった。哀れを感じるのは私だけでしょうか。
ラファエロの死後60年たって、彼の新たな作品が発見されます。人妻を意味するターバンを頭に巻いた「若い婦人の肖像」です。上半身裸で腕輪にはラファエロが絵の署名に使った「Raphael Vrbinas」が描かれており、ラファエロとモデルとの特殊な関係が見て取れます。
この絵のモデルは、婚礼の衣装を身にまとった「ヴェールを被る婦人の肖像」と同じパン屋の娘と言われています。女性の名はマルゲリータ・ルティ。彼女こそが本命の女性と言われています。「若い夫人の肖像」はラファエロが密かに描き、最後まで手放さなかったため遺品に埋もれ、発見が遅れたとされています。作品の右下には非売品であることを示す「E・I」のサインが入っていたそうです。