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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

認知症予防の「脳トレ」は仕事が一番!医学誌BMJに論文掲載

公開日: 更新日:

 認知症の予防には何が一番有効でしょうか? 脳は使わないことによって老化が進む、という考え方があります。

 たとえば、仕事人間の男性が、定年をきっかけにして認知症が急速に進行する、というのはよくあることです。これは、仕事を辞めることによって脳を使わなくなることが、大きな原因だと考えられています。

 それでは、脳を常に刺激することによって、認知症は予防できるのでしょうか? この目的でよく使われているのが、スマホなどで記憶力の問題やパズルなどを毎日解く「脳トレ」と言われるようなソフトです。ただ、その効果は今のところ認知症予防としては確認されていません。一日短時間のトレーニングをしても、脳の働きが維持される、というところまではいかないようです。

 そこで注目されるのが仕事自体の脳への影響です。自分の考えと裁量で進めていくような、やりがいのある仕事をすることは、脳にポジティブな刺激を与える可能性があるからです。

 今年の「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」という一流の医学誌に、脳に刺激を与える仕事と認知症との関連を検証した論文が掲載されました。

 それによると、ポジティブで創造的な仕事をしている人は、命じられるままに仕事をしている人と比較すると、認知症になるリスクが2割以上低くなっていたのです。

 一番の脳トレは、実は仕事なのかもしれません。

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