“コロナ不眠”の改善にも期待と注目の「CBD」とは? WHOも認めた大麻草成分を専門医が解説
コロナ感染への不安や生活習慣の変化によるストレスで不眠を訴える人が増えている。治療にはストレスマネジメントや生活習慣の調整とともに睡眠薬の投与が行われるが、最近、不眠改善への期待から「CBD」が注目を集めている。
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CBDはカンナビジオール(Cannabidiol)の略で、大麻草に含まれる植物性カンナビノイドの一種。「不眠に悩む患者に治療の選択肢のひとつとしてCBDを提案することもある」と話すのは、ナチュラルハーモニークリニック(東京・表参道)の岩本麻奈副院長だ。
「不眠には睡眠導入剤などを処方するのが一般的ですが、薬は即効性がある分、副作用の可能性もあります。患者さんの中には睡眠薬に抵抗感を抱く人もいます。ですから私は、睡眠薬などに頼る前にCBDという選択肢があると伝えています」
大麻草の成分と聞くと「違法」「危険」という印象を持つ人もいるだろう。しかし、いわゆる“ハイ”になる成分はTHC(テトラヒドロカンナビノール)というもので、CBDとは性質も作用も全く異なる。
「高揚作用のあるTHCは含まれておらず、大麻草の種と茎のみから抽出したCBDなら日本の法律に抵触しません」
CBDがなぜ、ストレスによる不眠改善に効果が期待できるのか? それは、人間の体に備わる身体調節機能(エンドカンナビノイドシステム)に関係しているからだ。
これは食欲、睡眠、痛み、免疫、発達と老化などあらゆる身体機能のバランスを調節して恒常性(ホメオスタシス)を保つ。正常に働く上で大きな鍵になるのが、内因性カンナビノイドで、代表的なものが「アナンダミド」と「2-AG」という物質。しかし、加齢や強いストレスで内因性カンナビノイドが減ってしまうと、身体調節機能がうまく稼働しなくなり、不眠などの不調が生じると考えられる。
植物性カンナビノイドの代表であるCBDは、内因性カンナビノイドの分解を遅らせて作用を補佐する性質がある。
「つまり、CBDの摂取で、加齢やストレスで低下した身体調節機能を活性化できるのです」
WHOがアルツハイマーやがんへの有効性を認める
CBDは欧米を中心に研究が行われており、ここ数年はヒトを対象にした臨床研究も増えている。WHO(世界保健機関)は、CBDが身体への有害な作用や依存性、乱用の危険がないことを認めており、アルツハイマー、疼痛、抑うつ、がんなど多岐にわたる病気への有効性を示している。
日本臨床カンナビノイド学会認定登録医で皮膚科専門医の岩本副院長は、日光過敏性皮膚炎や慢性湿疹などの患者にも、現病歴を鑑みた上でCBDを勧めている。
CBD商品はさまざまな形態があるが、日本で代表的なものはCBDをキャリアオイルに配合したCBDオイル。舌下に垂らして粘膜吸収させるものだ。
「CBD関連商品は自然由来のものとはいえ、副作用はゼロではありません。よくあるのが日中ウトウトする、倦怠感、脱力など。CBD特有の2層性(量によって作用が反転する)、薬物相互作用の観点から、当クリニックでは必ず診察してから処方しています」
岩本医師によれば、国内に流通しているCBDオイルはほとんどが輸入品。輸入業者が、どこまで真摯に現地での生産体制をチェックしているか、第三者検査機関で成分分析データを取っているかなどが、品質の信頼性の担保につながる。
たとえば、米国では合法のCBDでも、種と茎以外の由来のものは日本では違法になる。できるなら、きちんとチェックした上でCBDを試したい。