新型コロナワクチン副反応を徹底検証【血栓症】極めてまれだが重症が多く命の危険も
いずれも、専門家の評価は「γ」(情報不足等によりワクチンとの因果関係が評価できないもの)とされている。とはいえ、厚労省は「一般的に見られる下肢静脈等の血栓症と比べて頻度はまれと考えられていますが、注意深く情報収集が行われています」と注視している。
なぜ、ワクチン接種後に血栓ができてTTSが起こる可能性があるのか。東邦大学医学部名誉教授で循環器専門医の東丸貴信氏は言う。
「世界各国で機序の解明が行われていますが、まだはっきりしたことは分かっていません。ただTTSは、血液凝固阻止剤のヘパリンを投与した後にまれに起こる『HIT』(ヘパリン起因性血小板減少症)と非常に似ていることが報告されています。HITは、投与されたヘパリンが血小板第4因子と結合して複合体が形成され、その複合体に対してつくられたHIT抗体がさらなる血小板の活性化を引き起こすと考えられています。すると、血液凝固因子のトロンビンが過剰に産生されて血小板が凝集して血栓がつくられるとともに、血小板が消費され減ってしまうのです」
TTSでも、血小板第4因子と新型コロナワクチンに含まれる成分が複合体を形成し、それに対してつくられた抗体が血小板の活性化を引き起こす可能性が指摘されている。