著者のコラム一覧
清澤源弘自由が丘清澤眼科院長

1953年、長野県生まれ。東北大学医学部卒、同大学院修了。86年、仏原子力庁、翌年に米ペンシルベニア大学並びにウイリス眼科病院に留学。92年、東京医科歯科大眼科助教授。2005-2021年清澤眼科院長。2021年11月自由が丘清澤眼科を新たに開院。日本眼科学会専門医、日本眼科医会学術部委員、日本神経眼科学会名誉会員など。

弱視は8歳までに発見して治療しないと回復のチャンスを逃す

公開日: 更新日:

 弱視の原因には、焦点を合わせられない(屈折異常弱視)、左右の眼の向きのずれ(斜視弱視)、白内障またはその他の眼の異常(視覚遮断弱視)の3種類があります。 診断は視力検査で下さされます。早期に発見され、治療された場合は、弱視を矯正することが可能です。この弱視は小児の約2~3%に発生し、通常は2歳以前に表れます。

 子供は生まれたときには、視覚路がまだ十分に発達していません。視覚系と脳が正常に発達するためには、同じ方向を向いた左右の眼から、明瞭に焦点が合った重なりあう像の情報を受け取る必要があります。視覚系と脳の発達は主に生後3年間に起こり、およそ8歳頃まで続きます。この発達期間中に、片方の眼から適切な視覚刺激を脳が受けなかった場合、脳はその眼からの像を無視するようになり、その結果、視力障害が生じるのです。

 抑制期間が長いと、視力障害は固定されるケースがあります。このようにして視力障害が恒久化したものを弱視(アンブリオピア)と呼びます。 眼は、左右の眼から1つずつ2つの像を生成し、通常はこれらの像が脳内でひとつの像に融合され、さらに統合されて3次元の像と高度な奥行き感覚が生み出されます。像を融合させる能力は小児期の早い段階で発達します。たとえ眼の構造が正常であっても、脳は抑制のかかった眼からの像を認識しなくなります。 視覚発達過程での異常を発見するために、すべての小児に対し3歳頃に視力スクリーニングが行われます。そしてこれは就学時健診へと引き継がれます。スクリーニングで問題が見つかった場合には、直ちに眼科医を受診しましょう。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    八角理事長が明かした3大関のそれぞれの課題とは? 豊昇龍3敗目で今場所の綱とりほぼ絶望的

  2. 2

    フジテレビにジャニーズの呪縛…フジ・メディアHD金光修社長の元妻は旧ジャニーズ取締役というズブズブの関係

  3. 3

    元DeNAバウアーやらかし炎上した不謹慎投稿の中身…たびたびの“舌禍”で日米ともにソッポ?

  4. 4

    松本人志は「女性トラブル」で中居正広の相談に乗るも…電撃引退にショック隠しきれず復帰に悪影響

  5. 5

    ついに不動産バブル終焉か…「住宅ローン」金利上昇で中古マンションの価格下落が始まる

  1. 6

    フジテレビ顧問弁護士・菊間千乃氏に何が?「羽鳥慎一モーニングショー」急きょ出演取りやめの波紋

  2. 7

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  3. 8

    菊間千乃は元女子アナ勝ち組No.1! フジテレビ退社→弁護士→4社で社外取締役の波瀾万丈

  4. 9

    中居正広「引退」で再注目…フジテレビ発アイドルグループ元メンバーが告発した大物芸能人から《性被害》の投稿の真偽

  5. 10

    中居正広「華麗なる女性遍歴」とその裏にあるTV局との蜜月…ネットには「ジャニーさんの亡霊」の声も