中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

小倉智昭さんは「運が良かった」と告白 がんの転移があっても原発を治療できるケース

公開日: 更新日:

 読者の皆さんは、どう思われたでしょうか。膀胱がんを公表している、キャスター・小倉智昭さん(74)のことです。昨年夏に肺への転移が見つかり、抗がん剤などの治療で活動を休止していましたが、このほどラジオ番組に出演。膀胱全摘後に肺転移が見つかったことを「運がよかった」と語り、話題を集めています。

 報道によると、その後の“小倉節”はこんな具合だったようです。

「普通は膀胱の全摘手術の前に肺に転移していたら、全摘手術はできないんですって」

 ところが、続きがあります。

「(全摘手術前から画像検査で写っていた肺の結節は)ずっとそこにあった小さなものだったから、がんじゃないだろうということで、一応要観察みたいな感じ」

 それが手術から3年を経て大きくなり、病理検査を受けたところ、膀胱がんと同じ組織が見つかり、転移との診断で、抗がん剤治療を受けたという流れです。

 この話だと、全摘前から肺の転移があった可能性もあります。そうすると、全摘できない、つまり根治できなかったが、小倉さんは先に全摘=根治できたからラッキーだと表現したのでしょう。その気持ちは分かりますし、実際、診断時にすでに転移がある場合は手術できないこともありますが、すべてがそうではありません。

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