カテーテルによる補助人工心臓はさらに進化する可能性もある
心臓の場合、EVのモーターのようにそれぞれが完全にシンクロする必要はありません。1秒くらいずれて動いたとしても問題はなく、そこまで高い精度が求められるわけではないため、技術的には十分に可能と言えるでしょう。
ただ、モーターが止まってしまうと一巻の終わりなので、バッテリーの進化も必要になります。いまは補助人工心臓につながったケーブルを体外に出して電力を供給しているのですが、モーターが小型化されて各所に配置する場合、一個一個の容量は小さく済みます。ですから、パッドの上に置くだけでワイヤレス充電できる最近のスマートフォンのように、充電器が搭載されているベッドに30分くらい寝ているだけで1日分の充電ができるようなシステムが開発されてもおかしくありません。
もっとも、技術がさらに進化して補助人工心臓が小型化され、性能が向上したとしても、治療費がとてつもなく莫大になることが予想されます。そうした費用をどこが負担するのかという新たな問題が生じるのです。
次回、引き続きお話しします。
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