著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

外国人の在宅医療 余命数カ月を宣告されたスキルス胃がんの東欧人女性

公開日: 更新日:

 通院が厳しいので在宅医療に切り替えたいと、私たちのところに相談にいらっしゃったのは22年5月。紹介状である診療情報提供書には「余命2~3カ月」と書かれていました。

「誕生日までは難しいでしょうか。8月8日なのですが」(娘さん)

「ちょっと厳しいかもしれないです。ただ、ご本人はとても頑張り屋さんで、今もとても頑張ってくれています」(私)

「先週までは元気だったんです! ご飯も普通に食べていて、車も運転できて!」と涙を流しながら話す娘さんの姿は、私たちにとっても非常につらいものがありました。私たちにできるのは、患者さんのつらさをできる限り取り、娘さんやご友人との時間を充実したものにすることです。

 吐き気があるのは、おそらく腸液がうまく流れていないのが原因と考え、それに対処する薬を投与。嘔吐が頻回に見られ、ご本人は点滴が合わなかったと思っている節があったため、生理食塩水を静脈内注射しました。

 予想された小腸の閉塞に対しては、いくつかの治療法を提案。腸閉塞による腹痛や嘔吐を改善する薬「オクトレオチド」と生食点滴の治療を本人が希望されたので、それに応じた治療を行いました。

 実は先日、女性は安らかに旅立たれました。嘔吐も腹痛もなく、娘さんや信頼する友人、義弟さんに囲まれての旅立ちでした。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”