予後宣告は3カ月…自宅で思う存分の「口げんか」すら愛おしい
自宅での療養をスムーズに始めるにあたり、さまざまな事前準備を行います。それを環境整備と呼んでいます。
たとえば、ポータブルトイレ、車椅子、手すり、杖などをそろえます。患者さんのADL(日常生活動作)に合わせた補助器具の手配、部屋や廊下への手すりを設置するなどのバリアフリー化も必要です。
介護認定は申請してから認定まで通常1カ月かかるため早めに動き出さなければなりませんし、介護認定がされるまでのつなぎとして医療保険の適用も申請しなければなりません。患者さんのQOL(生活の質)の向上とご家族の負担軽減のために、やるべきことはたくさんあります。そして、その環境整備の中に、患者さんとご家族の心の準備も重要な要素としてあります。
患者さんは果たしてなにを望んでいるのか? ご家族の思いは? 不満は何か? 他人の私たちに対して我慢して言わないでいることはないか? これらを確認することも、環境整備として大切な作業となるのです。
最近になって在宅医療を開始した80歳の男性で、前縦隔扁平上皮と縦隔リンパ節、さらに肝臓の進行がん末期の患者さんがいます。