タブレット純さんが鼻ポリープ手術を決意した理由 鼻炎スプレー“依存”が不安だった…
タブレット純さん(歌手/48歳)=鼻ポリープ
2020年11月に「鼻ポリープ」の切除手術をしました。医師から「2カ月たたないと本調子にはならない」と言われた通り、退院してからも長らく鼻の奥からドロドロとレバー状のものが出てきました。手術で切ったものなんですかね? よくわからないですけど、朝晩鼻うがいをするたびにドバドバ出て、それが快感でした(笑)。
物心ついた頃から鼻が詰まり気味でした。と同時に小児喘息も持っていたので、空気の悪い所に行くと発作が出たり、鼻が詰まったりというのがあって、ずっと喘息と鼻炎を混同していました。
10年ぐらい前にアレルギー検査を受けまして、ハウスダストアレルギーがあることが分かり、そのときに「鼻茸(鼻ポリープ)もできています」と聞かされました。
さらに遡ってみると、20歳ぐらいのときになぜか詩吟をやっていたことがあって、その詩吟の先生に「君は鼻茸がありそうだね」と言われたこともありました。なので、自分でも慢性的な鼻詰まりだなとは、昔から思っていたんです。
手術をしようと決意したのは、鼻詰まりが悪化したというよりは、鼻炎スプレーの使用頻度が多くなりすぎて、「これは体に害が出そう」と思ったからです。鼻炎スプレーをすると鼻の通りがよくなるので、20年ぐらい前から使い続けていたんです。でも、だんだん効果が短くなって、1日に20~30回も使うようになっていました。市販薬ですが、割と強い薬なので本来はそんなに使うのは良くないのです。現にスプレーすると痛みを感じるようになっていました。
■術後は7日間入院、鼻に詰め物をしたまま退院
鼻ポリープを手術した周囲の人に話を聞くと、「鼻の通りがまったく違う」と言われたので、知り合いをたどって名医のいる病院を教えてもらい、手術をお願いしました。
レントゲン検査をした結果、「だいぶ大きくなっていて、ひどい部類に入る」とのことでした。ウソかホントか「脳まで達している」とも言われ、そのときちょっと「物忘れがひどいのはそのせいかな?」と思ったんですけど、手術後も変わらないのでそれは関係なかったみたいです(笑)。
1週間入院が必要と言われたので、レギュラーのラジオ番組が1週間休みというタイミングで手術に臨みました。入院なんて初めてだったので、実のところ楽しみにしていました。本を何冊も買い込んで、サイレントの卓上ピアノまで持って行ったんです。でも、とんでもない。何ひとつできませんでした(笑)。
手術自体は全身麻酔で目覚めたら終わっていたのですけれど、術後は両方の鼻の穴に詰め物がされていて、口でしか息ができない状態でした。顔がひどく腫れて、ブタ鼻だったのがショックでしたし、鼻が通らないので眠れないし、食事をしても嗅覚がないので全然おいしくないんです。本を読む集中力などとてもありませんでした。
結局、7日間の入院で、鼻に詰め物をしたまま退院となりました。
■声の抜けも良くなった
想定では治っていると思われた術後2週間後でも、まだ鼻は通らないままでした。そんな状態のまま2時間のラジオ番組生放送……苦しかったですけれど、なんとかやりきりました。
鼻うがいをするたびにドバドバ出ていたレバーのようなものも、だんだん出なくなって落ち着いてくると、ようやく手術の効果を感じるようになりました。「中毒」といってもいいほど依存していた鼻炎スプレーをまったく使わなくなったのです。
ハウスダストアレルギーはあるので今でも鼻が詰まることはありますが、もうスプレーからは卒業しました。“鼻炎持ち”は、この鼻炎スプレーを断ち切ることがなかなかできずに苦しむ人が多いんですよ。なので、その点だけでも手術をして良かったと思います。ただ鼻の粘膜が弱くなったのか、最近、鼻血が出やすいので鼻をかむときは注意しています。
鼻の通りが良くなったので、声の抜けも良くなりました。その分、自分の声が以前と違うことに違和感があって、直後は「しなければよかったかな」と少し後悔しました。今はもう慣れましたけれどね。
こう見えて、これまで大きな病気はしてこなかったので、健康についておろそかにしてきました。ですから、「やっぱり健康は素晴らしい」と痛感しました。とはいえ、手術から2年がたった今、いろいろ元通りになっていて、「いけないな」と反省したところです。
もう通院もしていませんし、鼻うがいも1年ぐらいでやめてしまったし、処方されたステロイド剤は早々にやめてしまいました。健康のためにと始めたホットヨガも、体重が減っていくので続きませんでした。それでも健康はキープしたいので最近は漢方薬とエナジードリンクが欠かせなくて、うすうす良くないと思っているところです。
(聞き手=松永詠美子)
▽タブレット純(たぶれっと・じゅん) 1974年、神奈川県生まれ。2002年にムード歌謡グループ「和田弘とマヒナスターズ」の新メンバーとしてデビューし、2年後にソロに転身。13年にムード歌謡漫談で注目を浴び、現在はラジオのレギュラー番組をはじめ、カルチャーセンターで教室を受け持つ。新曲「百日紅」が発売中のほか、11月には著書「タブレット純のローヤルレコード聖地純礼」が出版予定。
■本コラム待望の書籍化!「愉快な病人たち」(講談社 税込み1540円)好評発売中!