自宅にいきなり介護用ベッドは違和感あり まずは心の環境調整から
在宅医療を行う上で、大きな仕事のひとつに環境調整があります。
具体的には患者さんが病院から退院し、自宅療養を始める前に、療養に適した環境に整えることを意味しています。介護用ベッド、ポータブルトイレ、手すりなど、患者さんの様態やADL(日常生活動作)のレベルに合わせて用意します。
ただ、いきなり自宅に介護用ベッドやポータブルトイレがあると、患者さん自身が強い拒否感を持つ場合もあります。その場合は先に導入せず、とりあえず家に帰っていただき、本人と相談しながら介護ベッドを入れたりします。ある意味、心の環境調整ともいえるものですが、ベッドやトイレの手配を整えるのと同様に、大切であると考えています。
患者さんやご家族の思い、疑問、不安はさまざまです。Aさんには受け入れてもらえる内容も、Bさんは違うかもしれない。なるべくそれぞれの思いに添うように努めています。
90歳の心不全、心筋梗塞を患う女性患者さん。実は数カ月前にも在宅医療を検討され、ご相談をいただいていたのですが、その時は体調も良く、通院しながら投薬により調整することに落ち着きました。