認知症で「脳」が影響を受ける部分はほんの一部…95%は正常
また、「認知症患者さんだ」という目で見ていると、すべての行動を「認知症だから」と捉え、なぜそういう行動に至っているのか、理由に思いを馳せなくなりがち。怒っているのは、実は熱があったり、お腹の調子が悪いなど、体調の問題がある場合や、認知症の薬の副作用だったり、正しい見立てが必要なのです。夜中に何度も目が覚めるのも、身体的問題から心理的影響までいろいろ考えられます。
他に認知症の方に見られがちな徘徊。その背景には、家に帰りたい、体調が悪くてどこかへ行きたい、今いる場所が居心地がよくないなど、本人なりの理由があるのではないでしょうか。
ケアの領域では、1人の人間として尊重し、その人の立場に立って考え、ケアを行おうとする考え方が重要視されます。本人の心の動きに思いを馳せずに、「出ていっちゃダメでしょ」「転んだらどうするの」などと家から出さないようにしたり、車椅子に抑制したりと、管理的に対応してしまう。そうではなく、なぜそういう行動に至ったかを考え、視線を転換してケアの方向を探してみてください。大切なご家族との大事な時間、穏やかな「いま」を保つポイントはここにあります。