ドライアイの意外な原因は「水不足」ではない…実は「油分」不足だった
目がショボショボ、ゴロゴロする。目が疲れる。目が乾いた感じがする──。これらの症状があればドライアイが疑われるが、目薬をさしても改善しない場合、「油分」が足らないのかもしれない。
近年、注目を集めているのが、目の疾患である「マイボーム腺機能不全」だ。今年2月、初の診療ガイドラインが発刊された。作成委員のひとりである東邦大学医療センター大森病院眼科・堀裕一教授が言う。
「マイボーム腺機能不全についてはかなり以前から問題視されていましたが、治療法がありませんでした。しかしこの10年で状況が大きく変わりました。そこで、ガイドラインが発刊される運びとなったのです」
マイボーム腺とは眼瞼内にある器官で涙の構成成分の油を分泌する。マイボーム腺の出口が詰まって油が分泌されなくなったり、マイボーム腺の萎縮や脱落で油の産生能力が落ちるのがマイボーム腺機能不全だ。
「ものを見る上で非常に重要な働きを担う角膜を守っているのが涙液(涙)です。涙液の最も表面にあるのが油層で、その次が水層、さらにその次がムチン層です」(堀教授=以下同)