マスクの効果を評価したランダム化比較試験 0.3ポイントでも条件が変われば…
日本の研究でないから意味がないというような意見も聞かれるが、それは困難だ。諸外国の研究をどう参考にするかというのが現実的な対応である。
■結果解釈のむつかしさ
さらに結果の方も少し違った角度で見てみよう。
この研究は1カ月の感染者で比較しているが、これが1年であったとしたらどのようなことが予想されるであろうか。もし1年間で10倍の人が最終的に感染するとしたら、マスク推奨群では18%、マスク非推奨群では21%ということに。さらに3年間であれば54%と63%ということになる。
それも実はマスク推奨群では半分に満たない人しかマスクをしていない状況である。さらにこれが100万人の都市であれば54万人と63万人の差となり、マスクを勧めることで3年間の感染者が9万人少ないということになる。
東京のような1000万都市では、その10倍の90万人の感染者減少になる。地球規模で考えればとてつもない数になることは誰にでもわかるだろう。
ランダム化比較試験で効果がないという結果が出ているとなると、鬼の首を取ったように「最も質の高いランダム化比較試験で効果なしと出ているのにマスクを着けるのはバカげている」と言い出す人が出てくるが、上記で見てきたように、事はそう単純ではないのである。