クスリの包装シートが手で簡単に1錠ずつ切り離せない理由
1錠ずつに切り離せるPTPシートが使われていた頃、まれにではありますが、高齢者、特に超高齢者がPTPシートのままクスリを服用してしまう事例があったのです。「クスリをシートから出さずに服用するなんてことある?」と思われるかもしれませんが、私自身これまでに2例ほど経験しています。PTPシートは切り離すと角が鋭利になるため、それが食道や胃を傷つけてしまう危険があります。
また、それを取り出すためには胃カメラを使わなければいけません。つまり、とても悲惨な結果になってしまうのです。そういったPTPシートの誤飲を防ぐために、今のPTPシートは簡単には1錠ずつに切り離せないようになっているのです。
ただし、当然ですがハサミを使って1錠ずつに切り離してしまうと、誤飲のリスクは同じように生じます。「自分は絶対に大丈夫」と思っていても、こういったトラブルは突然起こってしまうものです。私はPTPシートを誤飲した事例を経験しているので、個人的には1錠ずつに切り離してほしくないというのが本音です。ただ、ピルケースを使用している場合など、どうしても切り離して保管したいという方は、そういった誤飲が起こった場合のリスクを十分に理解しておいていただきたいと思います。