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坂本昌也国際医療福祉大学 医学部教授 国際医療福祉大学 内科部長・地域連携部長

専門は糖尿病治療と心血管内分泌学。1970年、東京都港区生まれ。東京慈恵会医科大学卒。東京大学、千葉大学で心臓の研究を経て、現在では糖尿病患者の予防医学の観点から臨床・基礎研究を続けている。日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本内分泌学会の専門医・指導医・評議員を務める。

血糖コントロールはしっかりでき低血糖は起こしにくい薬

公開日: 更新日:

 現在、日本の2型糖尿病の治療現場でもっとも多く使われている薬がDPP-4阻害薬です。糖尿病の薬には、膵臓からのインスリン分泌を促すことで血糖値を下げるインスリン分泌促進系と、インスリン分泌以外の作用で血糖値を下げるインスリン分泌非促進系があり、DPP-4阻害薬はインスリン分泌系になります。

 世界で初めてDPP-4阻害薬がアメリカで承認されたのは2006年。日本では09年に承認され、国内では10年ぶりの新しい作用機序を持つ経口2型糖尿病治療薬として、注目を集めました。このDPP-4阻害薬登場以降、GLP-1受容体作動薬、SGLT2阻害薬といった新たな作用機序の薬も登場し、今日まで糖尿病治療は大きく進歩してきたわけですが、今回はDPP-4阻害薬に絞ってお話ししましょう。

 1970年前後に発見されたのが、インクレチンというホルモンです。インクレチンは膵β細胞に作用してインスリン分泌を促す働きがあり、食事をすると消化管から分泌されます。インクレチンはタンパク分解酵素DPP-4によって速やかに不活性化されてしまうため、このDPP-4の働きを阻害すればいいのではとDPP-4阻害薬の開発が始まりました。

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