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新井平伊順天堂大学医学部名誉教授

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

「社会参加」や「余暇活動」が高齢者の認知機能低下を抑制する

公開日: 更新日:

何らかの学習活動に参加している65歳以上は28.4%

 内閣府が、毎年「高齢社会白書」を出しています。日本の高齢化の現状と今後の対策について明らかにしたものです。

 それによると、65歳以上の1人暮らしは男女共に増加傾向にあり、1980年には男女それぞれの人口に占める割合は男性4.3%、女性11.2%だったのが、2020年には男性15.0%、女性22.1%でした。

 また、内閣官房が2021年度に実施した「人々のつながりに関する基礎調査」の結果では、コロナ禍により人と直接会ってコミュニケーションを取ることが「減った」と回答した割合は6割。ただ、そのうち約3割が直接会わずにコミュニケーションを取ることが「増えた」と回答しています。

 65歳以上の参加している学習活動・社会活動を見た調査では、何らかの学習活動に参加している者が28.4%。学習内容については「家政・家事(料理、裁縫、家庭経営など)」が12.0%、「芸術・文化」が10.6%、「パソコンなどの情報処理」が10.4%。

 社会活動への参加状況では、「健康・スポーツ(体操、歩こう会、ゲートボールなど)」が25.8%、「趣味(俳句、詩吟、陶芸など)」が14.9%でした(すべて2023年度版「高齢社会白書」から)。

 これらをどう捉えるか。人によってそれぞれでしょう。

 ある男性(67歳)は、「家政・家事」への参加状況が約12%という結果が気になったそうです。

 再雇用で働いていた会社も2年前に契約終了となり、朝と夕方は犬の散歩、日中は図書館へ、奥さんとのみ、少しの会話の日々……。「10人に1人が参加しているという結果なら、こんなジイサンが参加しても大丈夫かな」と、市民会館で開かれている料理教室へ参加することを決めたとか。「お昼ご飯くらい、テキトウに自分で済ませて」という奥さんへ、手作りランチを出して驚かせることが目標、とのことです。

■健脳カフェ MCI(軽度認知障害)や物忘れが気になる人を対象に、2次予防(発症を遅らせる)、3次予防(進行を遅らせる)に力を入れている。認知機能低下は生活習慣の改善でリスクが軽減するといわれているので、健脳カフェの「活動スペース」では、絵画、運動、栄養などを学べる教室が日替わりで開催されている。通えない人のために、オンラインでもプログラムを配信している。

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