著者のコラム一覧
森大祐整形外科医

整形外科全般診療に長年携わる。米国トーマスジェファーソン大学で人工肩関節の臨床研究を行い、2000例超の肩関節手術を経験。現在は京都下鴨病院で肩関節や肘関節、スポーツ障害患者に診療を行う。サイトで整形外科疾患の情報を発信。

整形外科領域で「幹細胞移植」が効果を十分に得られないケースとは?

公開日: 更新日:

 再生医療法に基づく治療のひとつ「幹細胞移植」は昨今、非常に注目を集めている治療法です。幹細胞はさまざまな組織に分化する能力を持ち、大きく分けて多能性幹細胞と組織幹細胞の2種類があります。

 多能性幹細胞に含まれるiPS細胞は、京都大学の山中伸弥教授が2012年にノーベル医学・生理学賞を受賞したことで広く知れ渡りました。現在、幹細胞移植でよく使われているのは、iPS細胞と同じく多能性幹細胞のひとつ、間葉系幹細胞です。脂肪組織内に存在し、整形外科的領域では骨、脂肪、軟骨になることが期待されます。

 しかし、この「期待」という表現がこの治療の不確実性を物語っています。幹細胞移植は万能細胞であることは先週お話ししました。スーパーエリートな軍隊とでもいいましょうか。

 しかし、軍隊に適切な指令を送る司令官がいません。万能細胞自身はまだ骨や脂肪、軟骨ではありません。Aという指令で骨、Bという指令では脂肪、Cという指令で軟骨になる。ただAやBやCの指令を特定の司令官が送るのでなく体のどこかから送られてくるのを万能細胞は待つことになります。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    江藤拓農水相が石破政権の最初の更迭大臣に?「隅々まで読んだ」はずの食糧法めぐり“逆ギレ誤答弁”連発

  3. 3

    「相棒」芹沢刑事役の山中崇史さんが振り返る俳優人生…地下鉄サリン事件「忘れられない」

  4. 4

    吉幾三(5)「お前のせいで俺と新沼謙治の仕事が減った」

  5. 5

    みのもんたさんが自身のスキャンダルで見せた“類まれな対応力”…明石家さんま、石田純一との共通点

  1. 6

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 7

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  3. 8

    日本代表FW古橋亨梧の新天地は仏1部レンヌに!それでも森保ジャパン復帰が絶望的なワケ

  4. 9

    維新は予算案賛成で万々歳のはずが…ゴタゴタ続きで崩壊へ秒読み 衆院通過の自民はニンマリ?

  5. 10

    松坂桃李「御上先生」第7話2ケタでV字回復へ 詩森ろばの“考えさせる脚本・演出”はTBS日曜劇場からの挑戦状