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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

直腸がん克服の女優・立花理佐さんが復帰…化学放射線療法で進行がん消滅の可能性

公開日: 更新日:

 直腸は骨盤に囲まれた狭い空間にあり、男性は膀胱(ぼうこう)、女性は子宮や膣があります。手術で重要な臓器や自律神経が傷つくと、成功しても排便や排尿、性機能などで生活の質が損なわれます。化学放射線療法は、機能を温存でき、さらに再発率が低いのもメリットなのです。

 直腸がんを手術のみで治療すると骨盤内の再発率は12~20%ですが、術前化学放射線療法を行うと数%に下がります。直腸がんを手術で治療することが中心となっている日本で、化学放射線療法が普及することは急務でしょう。

 放射線の照射は、1回5グレイを5日連続でかける方法と、1回1.8または2グレイを1週間5回で4週間または5週間かける方法の2通り。後者では多くの場合、抗がん剤を併用します。

 立花さんのようにがんが広く浸潤しているケースでは、がんをしっかりと縮小させることが必要で、後者が選択されることが多いでしょう。治療期間は長くなりますが、がんの大きさが治療前と比べて平均30%縮小。人工肛門を避けられるケースが多くなるのは、治療効果の高さに加えて大きなメリットです。

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