著者のコラム一覧
黒﨑弘正江戸川病院放射線科部長

江戸川病院放射線科部長。1995年、群馬大学医学部卒。医学博士。日本専門医機構認定放射線専門医、日本放射線腫瘍学会放射線治療専門医。JCHO東京新宿メディカルセンターなどの勤務を経て2021年9月から現職。

放射線治療の「治療線量」はどのようにして決まるのか?

公開日: 更新日:

 近年は患者さん用のガイドラインが書店で売られるようになり、簡単に医療情報が手に入るようになっています。英語が得意な人は「PubMed」と呼ばれる論文検索エンジンを使えば、インターネットを介して世界中の最新論文を簡単に手にできます。なかには、PubMedでなく「Google Scholar」という検索エンジンを使う人もいらっしゃるでしょう。

 私が医者になったころは、インターネットはスタンダードではなく、大学でも何枚ものCD-ROMを使って検索していました。当時と比べれば医学の最新情報へのアプローチははるかに手軽になりました。

 さて、患者さん用のガイドラインなどには「放射線治療を受けるときには何回です」といった説明があります。その回数はどう決まるのでしょうか? もちろんガイドラインに書かれた通り、と言われればその通りになりますが、おおよその原則があります。

 大昔から放射線治療は1日1回2グレイ/週5回で治療されるケースが多かったことから、一般的ながんでは予防的な量としては「40~50グレイ/20~25回/4~5週間」が目安で、放射線治療だけで根治を目指す場合は「60~70グレイ/30~35回/6~7週間」が目安となります。実際に多くの病院で、乳がんの温存術後の放射線治療(予防照射)では、「50グレイ/25回(50グレイを25回に分割したということ)/5週間」、取り切れなかった場合は「60グレイ/30回/6週間」を目安に行っていました。

 現在はもうちょっと短く照射しても問題ないとわかってきたので、1回の線量を2.6グレイ程度に上げて、5週間ではなく3週間程度に短縮して照射する「寡分割照射」がはやりとなっています。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…