がん治療計画とはどのようにして作られるのか…キャンサーボードで検討
前回、肺がんを疑われるケースでのスタンダードな診察の流れを説明しました。呼吸器内科あるいは呼吸器外科を受診し、気管支鏡による生検でがんを確定させたうえで、CTなどで病期診断を行うというものです。
本来であればこうした検査を行ったのち、「キャンサーボード」(手術、放射線、抗がん剤などの専門知識のある医師、その他の専門医、医療スタッフらが参集し、患者の症状、状態および治療方針などを意見交換・共有・確認などを行うカンファレンス=話し合いのこと)で検討して、治療方針を患者さんに提示します。ただ、ガイドラインや患者さんの希望、または緊急性がある場合は、キャンサーボードで討論する前に方針が定まるケースもあります。あまりいいこととは言えませんが、私が働いてきた病院の多くは初回治療前にキャンサーボードで討論した症例の割合は少数でした。ただ、がん診療拠点病院などの報告では、治療前にキャンサーボードで討論したケースの割合の報告を求められます。
実際に放射線治療の外来を受診できるのはこの後の話となります。近年は集学的治療として、抗がん剤と放射線治療の組み合わせなど、さまざまな連携が取られる場合もあります。なので、放射線治療の立場としては、いつから抗がん剤が始まるので、その日までに準備をしなくては……ということも多々あります。