初夏の白と緑の2色 生活に季節の「かさねの色目」を取り入れる

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 5月に入り立夏を過ぎる頃には、木々の葉は青々と茂り、太陽の光も力強くなります。初夏の風は薫風ともいわれ、新緑の生命力に満ちています。古来、日本人はそのような自然が持つ力を、行事や食べ物、衣服の文様などにあやかりながら上手に暮らしに取り込んできました。

「色彩」もそのひとつです。色彩には明度や彩度などの科学的な分析によって共通に表記される特徴のほかに、赤は情熱、緑は平和など、それぞれの色の持つイメージがあり、色の印象は私たちの心理に影響を与えます。好きな色の服を着て気分を上げたり、落ち着いた色のインテリアでストレスを和らげたりといった効果はよく知られています。

 日本人の色彩感覚はとても繊細で、刻々と変化する自然の移り変わりを色で表現してきました。萌黄色、若草色、若葉色、翡翠色、苗色など、現在では緑色か黄緑色で言い表しているさまざまな色に、異なる名前をつけて区別していました。それらの2色以上の組み合わせを「かさねの色目」といい、より詳細に季節を表現しています。

 たとえば、初夏の代表的な組み合わせに白と緑の2色があります。かさねの名は「卯の花」といい、緑色の枝葉に咲き匂う白い花を表しています。庭木や垣根の柑橘類や野いばらも同様に白い花を咲かせますので、白と緑はまさに初夏を代表する組み合わせです。 また、「杜若(かきつばた)」は紫と緑の2色で、端午の節句のイメージのように、きりりとした夏を表します。

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