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石原藤樹「北品川藤クリニック」院長

信州大学医学部医学科大学院卒。同大学医学部老年内科(内分泌内科)助手を経て、心療内科、小児科研修を経て、1998年より「六号通り診療所」所長を務めた。日本プライマリ・ケア学会会員。日本医師会認定産業医・同認定スポーツ医。糖尿病協会療養指導医。

膝痛と関節注射と骨折との関係…米国医師会関連雑誌で報告

公開日: 更新日:

 膝や肩などの関節が腫れて痛むことは、年齢とともに誰にでも起こる可能性のある症状です。痛みがつらくて医療機関を受診すると、関節の中に注射をして治療をしてくれることがあります。あれは何を注射しているのでしょうか?

 最近では血漿製剤など、別の薬が使用されることもありますが、主に使われているのはステロイド(副腎皮質ステロイド)剤です。ステロイドには炎症を強く抑えるような働きがあるので、それを注射することによって、関節の炎症が治まり、腫れや痛みが改善するのです。

 しかし、ステロイド剤は副作用の強い薬でもあります。注射をやり過ぎると、関節が破壊される危険があることが知られています。また、注射の場合、多くは関節内に留まるステロイド剤ですが、その一部は全身に影響を与える可能性も指摘されています。

 ステロイドの副作用のひとつは骨がもろくなることによる骨折の増加です。それでは、関節注射のステロイド剤で、骨折が増える可能性があるのでしょうか?

 今年の米国医師会関連の医学誌に、アメリカでの調査結果が報告されています。関節炎などに対して、ステロイド剤の注射を受けた7000名以上の患者データを解析したところ、使用しない場合と比較して、骨折の増加は認められませんでした。

 今回のデータだけで断定はできませんが、注射のステロイド剤だけで、骨折が増えることはなさそうです。

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