上腸間膜動脈解離…いつもと違う腹痛は命に関わる血管トラブルの危険あり

公開日: 更新日:

 上腸間膜動脈解離の8割程度は、真腔が完全に詰まることなく虚血を起こさないパターンで、その場合は血圧管理、補液や絶食などによる保存的治療で経過観察になるケースが多いという報告がある。ただ、残りの2割では、真腔が詰まって急性腸管虚血を起こすため、迅速に血管内カテーテル治療や手術をして、血管を再開通させる治療が必要だ。治療が遅れれば、当然ながら死亡リスクは高くなる。

 冒頭の50代男性は、幸いにも真腔が閉塞することなく血流が維持されていたため、一命を取りとめ、保存的治療だけで済んだ。3日ほど腹痛が続いた後、強い痛みが出た時点で近所のクリニックを受診し、すぐ急性期病院を紹介されて詳細な検査を受けたことが最悪の結果を避けられた一因になったといえる。担当医からは「ラッキーだった」と言われたという。

「動脈が解離を起こす主な要因は、高血圧、喫煙、高血糖や高コレステロールなどの生活習慣病による動脈硬化が挙げられます。今後は、日頃から血圧のコントロールと生活習慣の改善が大切です。また、上腸間膜動脈解離は他の動脈解離と合併するケースも少なくないため、大動脈や末梢の動脈の画像検査(造影CT検査など)をしっかり受けておく必要があります」

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人原前監督が“愛弟子”阿部監督1年目Vに4日間も「ノーコメント」だった摩訶不思議

  2. 2

    巨人・阿部監督1年目V目前で唇かむ原前監督…自身は事実上クビで「おいしいとこ取り」された憤まん

  3. 3

    松本人志は勝訴でも「テレビ復帰は困難」と関係者が語るワケ…“シビアな金銭感覚”がアダに

  4. 4

    肺がん「ステージ4」歌手・山川豊さんが胸中吐露…「5年歌えれば、いや3年でもいい」

  5. 5

    貧打広島が今オフ異例のFA参戦へ…狙うは地元出身の安打製造機 歴史的失速でチーム内外から「補強して」

  1. 6

    紀子さま誕生日文書ににじむ長女・眞子さんとの距離…コロナ明けでも里帰りせず心配事は山積み

  2. 7

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 8

    メジャー挑戦、残留、国内移籍…広島・森下、大瀬良、九里の去就問題は三者三様

  4. 9

    かつての大谷が思い描いた「投打の理想」 避けられないと悟った「永遠の課題」とは

  5. 10

    大谷が初めて明かしたメジャーへの思い「自分に年俸30億円、総額200億円の価値?ないでしょうね…」