天才物理学者アインシュタインの脳に見られる特徴とは?
頭がいい人の脳はどうなっているのか? 誰もが一度は思ったことがあるのではないでしょうか?
天才物理学者としてよく知られるアルバート・アインシュタイン。特殊相対性理論、一般相対性理論を提唱し、1921年にノーベル物理学賞を受賞した彼は、生涯を通して研究を続けました。腹部大動脈瘤で亡くなったのは1955年4月18日、76歳の時です。
アインシュタインは崇拝者が現れないよう、死後の遺体は火葬し散灰するよう言い残していたそうですが、彼が亡くなった病院に勤務していた病理学者が独断でアインシュタインの脳を取り出し保存。後に脳は切り分けられ、多くの研究者に提供され、さまざまな分析が行われました。
それによると、アインシュタインの脳の重さは同年齢の男性と変わらなかったそうです。一方、前頭葉のうち前方にある前頭前野の皺が多くて長かった。つまり普通の人より表面積が広かった。
前頭前野は系統発生的に人間で最もよく発達した部位であり、個体発生的には最も遅く成熟する脳部位。「考える」「行動や感情をコントロールする」「記憶する」「応用する」「集中する」「やる気を出す」といった人間らしく生きるために必要な働きを担っています。
また、神経細胞に栄養を送ったり、ダメージを修復する役割を持ち、高度な思考能力を発揮することに関連するグリア細胞も多かったと報告されています。
さらに注目したいのが、アインシュタインの脳では、左右の大脳半球をつないでいる神経の束=脳梁が太かったということ。
脳梁が太くて神経線維の数が多いことで、左右をつなぐネットワークが密接であることが考えられ、左脳と右脳の情報伝達の効率が良かった可能性があります。
アインシュタインの天才ぶりには、前頭前野、グリア細胞、左脳・右脳のネットワークが関係しているといえるかもしれません。ただし、アインシュタインに関しては、その脳の特徴が、遺伝的なものか後天的なものかは突き止められていません。