“やせ薬”としても使われる糖尿病治療薬はがん予防にも効果あり
「肥満治療薬」として承認されたことで、欲しがる人が増え、品薄が問題となった「GLP-1受容体作動薬」。GLP-1受容体作動薬は、もともと糖尿病治療薬として開発された薬だ。
このGLP-1受容体作動薬には、糖尿病や肥満に効果を発揮するだけでなく、さまざまな効果があることが分かってきた。
米フロリダ州の脳神経外科医ブレット・オズボーン博士は、8月22日、FOXニュースに「GLP-1受容体作動薬は現代の“聖杯”であり、抗生物質発見と同じようなインパクトを世界の健康に与えることが証明されるでしょう」とコメントしている。
米ケース・ウェスタン・リザーブ大学医学部の研究者らが、2024年8月号の「JAMA Network Open誌」に発表した研究成果は衝撃的だ。
研究結果は、全米1億1300万人の患者のカルテから得られたもの。そのうち170万人が2型糖尿病の治療にGLP-1受容体作動薬を使用していた。研究者らは、比較対象として、インスリン治療を受けた患者も調べたという。いずれの患者にも「肥満関連がん」の病歴はなかった。その結果、15年間にわたり、GLP-1受容体作動薬は、13種の肥満関連がんのうち10種類のリスクを大幅に軽減したという。インスリン治療を受けた患者と比較して、胆嚢がん、髄膜腫、膵臓がんは、それぞれ65%、63%、59%発症する可能性が低くなった。卵巣がんのリスクは48%低下し、肝細胞がんのリスクは53%低下したという。