依存症の人が見えている世界(1)いつの間にか主従が入れ替わっている
不安やストレスなどによっても依存度は高くなり、気が付けば沼から抜け出せなくなることも。不安だからお酒を飲んでいたのに、気が付けばお酒を飲まないと不安になっている。お金が欲しいからギャンブルをしているはずなのに、ギャンブルをするために金策に走る。主従が入れ替わってしまったら、依存症という病気になっていると自覚すべきだ。
「依存症という病気は、『本人より先に周囲が困る』という問題を抱えています。本人は、問題を起こすたびに、『二度としない』などと誓うのですが繰り返してしまう。本人だけで解決することはとても難しいため、周囲が依存症とはどんな病気なのかを理解することが大切なのです」
山下院長は、「依存症とは、脳の仕組みによって引き起こされる病気」だと説明する。次回以降は、その点について詳しく掘り下げていく。=つづく
▽山下悠毅(やました・ゆうき) 精神科専門医・精神保健指定医。日本外来精神医療学会理事。近著に「彼らが見ている世界がわかる 依存症の人が『変わる』接し方」。