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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

俳優・山崎努さんはステージ4から回復 食道がんでの高齢者に負担のない治療選択

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 もちろん、抗がん剤にも放射線にも副作用はあります。そのつらさは山崎さんも語っていて、抗がん剤ではめまいと吐き気で立てないことがつらかったそうです。放射線では食道の粘膜がただれるため、その回復を図り、一時的に胃ろうを設けるため、食事ができなくなります。チューブで栄養は補いますが、食事ができず、体重は一時的に20キロも落ちたそうです。

 しかし、治療を乗り越えることができました。その要因の一つは、抗がん剤の量の調節があると思います。文芸春秋には、抗がん剤の量は途中で「通常の6、7割」に減量され、最後の1回は「半分ぐらい」と記されています。化学療法の担当医が山崎さんの年齢や体力をこまめにチェックしながら投与量を調整していたことが見て取れます。

 高齢社会の今、山崎さんのような治療選択はとても重要です。男性の前立腺がんなどでも、遠隔転移がなければ放射線で完治が見込めます。副作用の一つ直腸粘膜の炎症も、放射線を患部に集中させることで軽減可能ですから。

【連載】Dr.中川 がんサバイバーの知恵

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