(3)障害者雇用の成功モデル…「お客さま扱い」から脱することがカギ
そこでYさんは早朝出社し、机の上を拭き、ごみ箱をきれいにすることを毎朝続けました。
すると、まじめな仕事ぶりが評価されるようになり周囲の人から「ありがとう」と声を掛けられるようになったのです。
「一般採用で入った人は半年で辞めましたが、僕は職場の人たちに支えられて2年間続けることができました」
その後、Yさんはより給料が高い会社に転職することになりました。
「送別会の時、小野先生からのアドバイスで感謝の気持ちと自分の思いを手紙につづり、全員に渡しました。皆さん、僕の転職を喜んでくれ、拍手で送りだしてくれたのです」
お客さま扱いされていたYさんが職場のアイドル的存在になった事例は、障害者雇用の成功モデルと言っていいかもしれません。
「雇用を継続するためには、職場の人たち、特に障害当事者を指導する立場の人との信頼関係が重要です。信頼関係があれば、自分が希望する専門家に診てもらいたいという要望もできます」(小野所長)