独居の親の「セルフネグレクト」を疑うポイントは?
近年、独居の高齢者で問題になりつつあるのが「セルフネグレクト」です。これは病気や不慮の出来事がきっかけで、食事や入浴、医療機関の受診など、本来、生活する上で行うべき行為をしない、あるいは行えず心身の安全や健康が脅かされている状態のこと。「自己放任」や「自己放棄」とも訳され、内閣府の委託調査によれば、セルフネグレクト状態に陥っている高齢者の割合は、2010年の段階で約1万1000人と報告されています。
セルフネグレクトの特徴として挙げられやすいのが「ゴミ屋敷」です。認知機能の低下で日常生活上における動作の手順が分からなくなると、掃除や片付けができなくなり、ゴミを部屋にため込むようになります。また認知症の進行に伴い失禁の頻度が増えたとしても、排泄物で汚れた下着や寝具、床の後始末が十分にできず、部屋中に悪臭が漂いやすい。ほかにも「ペットの多頭飼育(放し飼い)」によって動物のフンやエサが部屋に散乱して異臭や害虫が発生すれば、本人が暮らす家にとどまらず、隣家にまで悪影響を及ぼします。しかし、すでにセルフネグレクト状態に陥っている人は自ら生活環境を改善する気力がなく、周囲に助けを求めるケースは非常にまれであることから、近隣住民からの通報があるまで発見されにくいのです。