突然母が別人になった(8)このまま改善していくのでは…愚かにもぬか喜びをしてしまった

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 熱中症で入院することになった母の手続きのため、東京から急きょ、日帰りで帰省した私。コロナ禍で母の顔を見ることもできず、入院費用がどれだけかかるのかもわからず、今後のことを考えると気が重くなってきた。

 しかも父は、断固として母の入院を受け入れようとせず、勝手なことをするなと激怒する。父の感情を振り切るようにして私は実家を後にした。

 ガレージには車検を済ませたばかりの母の車が止まっていた。幼い頃から、どこに行くにも車で送り迎えをしてくれた運転上手な母。あれこれの場所が、頭をよぎる。ピアノ教室。学校。お気に入りのレストラン。ホームセンター。家族3人で遠出した海や山。すっかり大人になってからも、帰省時に街中に飲みに出かけた私を、遅い時間に店まで迎えに来てくれることもたびたびだった。母の運転する車に乗ることはもう二度とないのだろうな。そう考えると胸が締め付けられるようだった。

 この日の気温は34.8度、天気は快晴。この暑い、混乱を極めた夏の一日を忘れることは決してないだろうと思いながら、空港へ向かうバスに乗り込んだ。

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