閲覧チュー意! 東京・新宿区が対策に本腰「ねずみ捕獲」の現場に同行した
歌舞伎町全域の計200カ所に殺鼠剤を設置
新宿区は、歌舞伎町全域の計200カ所に「ジフェチアロール」という成分が含まれた殺鼠剤を設置するとともに、フタ付きのポリ容器を区が購入して飲食店に貸し出して、エサとなる不法投棄ゴミ対策も行う。たったの2時間でこれだけ捕獲できるならば、大掃除のように気合を入れて行えば、一斉駆除できる気すらしてしまうが……。
「ネズミは夜行性である上に神出鬼没なので、駆除が本当に難しい。研究者も誰もやりたがらないブルーオーシャンなんですよ。『ねずみ算』というほど繁殖力が強いですし、間違えた駆除を行えば、逆に殺鼠剤に適応したスーパーラットが誕生してしまいます。新宿区が使用する殺鼠剤は、スーパーラット対策のために作られた第2世代の殺鼠剤で、一定の効果が見込めます。ゴミ対策も行うようなので、やるべきことは間違えてません。ただ、もっと長期的な数年スパンの戦略を持つべきでしょう。ネズミの発生は都市の持病みたいなもので、継続的に処置していくしかないんですよ」(谷川さん)
「ヒトVSネズミ」の仁義なき戦いの歴史は長い。スイス・ベルン大学の研究では、ネズミは農耕社会以前の1万5000年前から人類との付き合いがあったという。
「特に、都市はネズミにとって格好のすみかとなります。元々樹上生活をしていたクマネズミはビルの中に、湿地帯にいたドブネズミは排水溝や路地に生息し、両者がすみ分けできる環境が整っているんです。ネズミは人間社会を映し出す鏡のような存在で、戦後はドブネズミが問題化し、高度経済成長期は乱立するビル群でクマネズミが大量発生しました。高齢化社会の現代では、身体機能が低下した高齢者の家を狙ってクマネズミがすみつく、という事例が多発しています」(谷川さん)
■ネズミは人間社会を映し出す鏡のような存在
もし自分がネズミだったら、やはり上京していただろうかと想像してしまう。しかし、谷川さんは「私だったら断然、田舎です」と言い、こう続けた。
「歌舞伎町で使われるジフェチアロールは抗凝血作用があって、食べると毛細血管が破壊されるんです。そして2、3日後には出血が止まらなくなって死に至ります。人間で例えると脳梗塞や脳卒中のような症状ですね。とはいえ、田舎は田舎で危ない。ヘリコプターで農場に一斉散布するようなリン化亜鉛は、食べるとおなかの中でガスが発生して中毒死に至る。なので、田舎の高齢者宅か、森でひっそり生きるのがいいかもしれないですね。都会のネズミは大変なんですよ」