上智大短大部も募集停止を公表…短大はこのまま「絶滅」を待つ運命なのか?
短大部を擁する広島文化学園大の板越正樹学長は、「教育学術新聞」で「最近は短大閉学のニュースが多いですが、短大にはまだまだ可能性があります。ドイツには国民高等学校(フォルクスホッホシューレ)があります。これは自由に教室をつかって市民なども講師になり、さまざまな学びを提供している成人向けの生涯教育機関です。日本でもこれを参考に、短大がある程度自由に単位や学位を出し、多様な高等教育の学びの一端を担っていく可能性がありうるのではないでしょうか」と指摘している。
特に地方では、現役世代のリスキリングや高齢者の生涯教育の学びの場として、短大が果たす役割が見直されつつある。
また「将来は地域密着で子育て支援の仕事をしたい」という高校生も少なくない。女性の社会進出が進むにつれて、保育園や幼保連携型認定こども園など地域のニーズが高まっているからだ。現に短大の学生総数が減少している中でも、幼児教育・保育など教育系は微減に留まっている。減少が著しい家政系、人文科学系、社会科学系などとは対照的だ。
幼児教育だけでなく介護、福祉、看護(3年制)などの専門分野を擁する短大は今後伸びる余地が大きい。地方における短大が多様な地域社会のニーズに対応した教育体制へと再編成していけば、絶滅どころか地方の再生の担い手養成機関、あるいはリスキリンや生涯教育の場としての道も開けるはずだ。
ただし、それを実現させるためには、短大自身のリスキリングが必要であろうが……。(木村誠/教育ジャーナリスト)