上智大短大部も募集停止を公表…短大はこのまま「絶滅」を待つ運命なのか?

公開日: 更新日:

 短大部を擁する広島文化学園大の板越正樹学長は、「教育学術新聞」で「最近は短大閉学のニュースが多いですが、短大にはまだまだ可能性があります。ドイツには国民高等学校(フォルクスホッホシューレ)があります。これは自由に教室をつかって市民なども講師になり、さまざまな学びを提供している成人向けの生涯教育機関です。日本でもこれを参考に、短大がある程度自由に単位や学位を出し、多様な高等教育の学びの一端を担っていく可能性がありうるのではないでしょうか」と指摘している。

 特に地方では、現役世代のリスキリングや高齢者の生涯教育の学びの場として、短大が果たす役割が見直されつつある。

 また「将来は地域密着で子育て支援の仕事をしたい」という高校生も少なくない。女性の社会進出が進むにつれて、保育園や幼保連携型認定こども園など地域のニーズが高まっているからだ。現に短大の学生総数が減少している中でも、幼児教育・保育など教育系は微減に留まっている。減少が著しい家政系、人文科学系、社会科学系などとは対照的だ。

 幼児教育だけでなく介護、福祉、看護(3年制)などの専門分野を擁する短大は今後伸びる余地が大きい。地方における短大が多様な地域社会のニーズに対応した教育体制へと再編成していけば、絶滅どころか地方の再生の担い手養成機関、あるいはリスキリンや生涯教育の場としての道も開けるはずだ。

 ただし、それを実現させるためには、短大自身のリスキリングが必要であろうが……。(木村誠/教育ジャーナリスト)

■関連キーワード

最新のライフ記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • 暮らしのアクセスランキング

  1. 1

    兵庫県知事選「頑張れ、斎藤元彦!」続出の異常事態…まさかの再選なら県政はカオス確実

  2. 2

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  3. 3

    斎藤元彦氏猛追の兵庫県知事選はデマと憶測が飛び交う異常な選挙戦…「パワハラは捏造」の陰謀論が急拡散

  4. 4

    シニア初心者向け「日帰り登山&温泉」コース5選 「温泉百名山」の著者が楽しみ方を伝授

  5. 5

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    悠仁さまの処遇めぐり保護者間で高まる懸念…筑付高は東大推薦入試で公平性を担保できるのか

  3. 8

    異様な兵庫県知事選の実態…斎藤元彦氏の疑惑「パワハラは捏造」の臆測が急拡散

  4. 9

    誰かがタレ込んだ? 国民民主党・玉木代表と元グラドルの密会不倫報道を巡る「新たな陰謀説」浮上

  5. 10

    「資格確認書」利用で窓口負担増の“ペナルティー”を政府検討 露骨な格差に識者も怒り露わに会員限定記事

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    西武ならレギュラー?FA権行使の阪神・原口文仁にオリ、楽天、ロッテからも意外な需要

  2. 2

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動

  3. 3

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  4. 4

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏の勝因は「SNS戦略」って本当?TV情報番組では法規制に言及したタレントも

  5. 5

    小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」も《もう見ない》…“バディー”ドラマ「喧嘩シーン」への嫌悪感

  1. 6

    国内男子ツアーの惨状招いた「元凶」…虫食い日程、録画放送、低レベルなコース

  2. 7

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  3. 8

    首都圏の「住み続けたい駅」1位、2位の超意外! かつて人気の吉祥寺は46位、代官山は15位

  4. 9

    兵庫県知事選・斎藤元彦氏圧勝のウラ パワハラ疑惑の前職を勝たせた「同情論」と「陰謀論」

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇