バック・トゥ・ザ・1985年…1ドル=200円だった頃の日本社会はどんなだった?
外国からの旅行客はわずか232万人
1985年の訪日外客数は約232万人。対して出国日本人数は約495万人だった。街中で外国人の姿はあまり見なかったし、逆に海外旅行に行ったことのある日本人も珍しかった。クイズ番組で提供されるハワイ旅行ご招待は、まさしく憧れの豪華景品だった。
ところが、2023年の訪日外客数は約2507万人に増え、日本中のどこへ行っても外国人旅行客の姿を見ない日はない。円安でお金持ちになった外国人はお金をバンバン使い、築地場外市場などは日本人が近づけない場所になっている。インバウンド価格で、日本人の財布ではなかなか手を出せない飲食店舗もある。
「岸田首相は2030年に訪日外客数6000万人、旅行消費額15兆円を目標にすると言っています。今より2倍の外国人が日本にやって来るわけで、あらゆる観光地で日本人が外国人旅行客に“買い負ける”現象が起きてくるでしょう」(トラベルジャーナリスト・渡辺輝乃氏)
そうなってくると、海外で取り入れられている「外国人料金」の導入があるかもしれない。ルーブル美術館は今年1月に一般入場料を17ユーロ(約2800円)から22ユーロ(約3500円)に値上げしたが、子供や18歳から25歳までのEU加盟国の在住者は無料となっている。
「ペルーの世界遺産マチュピチュの入場料も、ペルー人やアンデス共同体加盟国(ボリビア、コロンビア、エクアドル)と他の外国人では料金が違います。マチュピチュは最近、豪雨災害に見舞われ、環境保護のため入場者数そのものも制限中です。外国人旅行者との間に料金に差をつけるのは、かつてはソ連や中国など共産圏諸国の専売特許。そのため日本人の中には抵抗感がある人もいるでしょうが、富士山の環境を守るためといった理由で外国人料金を導入しようという声は出てくるでしょうね」(渡辺輝乃氏)
もっとも、日本人が海外へ旅行に行く際は逆。今でもニューヨークの一風堂でラーメン(白丸)の値段は20ドル(約3000円)。消費税とチップ(20%、22%、25%から選択)を含めると4000円以上になる。
■ロス疑惑の三浦和義の逮捕、笠置シヅ子死去
1985年の最も大きなニュースは「日航ジャンボ機墜落」。犠牲者の中には「上を向いて歩こう」の坂本九さんもいた。この年はブギの女王の笠置シヅ子も亡くなっている。
ワイドショーをにぎわせたのは、ロス疑惑の三浦和義の逮捕。美人の再婚相手、ポルノ女優の愛人、ロサンゼルス市警のジミー佐古田氏といった役者も整い、劇場型犯罪の典型だった。
他には豊田商事会長の永野一男がマスコミの目の前で刺殺される事件が発生。この事件は映画「コミック雑誌なんかいらない!」でも描かれ、犯人役のビートたけしが迫真の演技を見せている。また、この刺殺翌日には投資ジャーナルの中江滋樹が逮捕されたように、悪徳商法や詐欺商法が連続した時代でもあった。
一方、電電公社が民営化されNTTへ。バブルの足音がひたひたと近づいていた。