日傘に「熱中症警戒レベルが1つ下がる」スゴイ効果! 猛暑対策におすすめのスペックは?
帽子のみとの比較で発汗量は17%減
そんな日傘効果なんて当たり前だと思っているかもしれないが、最近の研究で侮れないレベルであることが示されているのだ。
環境省は18年の夏、日傘推奨に向けた調査で日傘の無料貸し出しイベントを実施。そのうち、よこはま動物園ズーラシア、千葉市動物公園、井の頭自然文化園の3会場では日なたと日傘下での暑さ指数(WBGT)をリアルタイムで計測した結果、日傘下では日なたに比べてWBGTが1~3度下がることが分かった。
WBGTは「31度以上」が「危険」で、高齢者は安静状態でも熱中症の危険が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動することが推奨されている。「28度以上31度未満」は「厳重警戒」で、ここまでの2段階は安静時を含むすべての生活活動で熱中症になる危険性がある。
これを踏まえて千葉市動物公園の測定結果を見てほしい。日なたのWGBTは「30度」で「厳重警戒」だったが、日傘を差したときは「27度」で「厳重警戒」を下回り、その下の「警戒(25度以上28度未満)」に熱中症リスクの区分が1段階下がったのだ。この暑さ低減効果は見過ごせない。
環境省はこれとは別に人工気象室で発汗量の変化を計測。気温30度、湿度50%などの条件下で男性6人に15分間の歩行運動を実施。帽子のみをかぶった場合と、日射を99%以上カットする日傘を使用した場合とで比較すると、日傘使用時は汗の量が約17%減っていた。11年に行われたクールビズの調査では上着を着て歩く場合に比べて、クールビズ&日傘の併用で熱ストレスは約20%減ることも分かっている。クールビズのみでは約11%の低減だから、日傘併用による効果は2倍近いのだ。
汗が減れば、頭皮や体は蒸れにくく、その分臭いも抑えられる。帽子だと頭が蒸れたり、腕が日焼けしてしまうこともある。臭い対策や頭皮環境の改善にも日傘が役立つ。日傘の役割は、熱ストレスや光老化といったおなじみの対策だけではないということだ。
日傘の効果を改めてデータでみると、実に理にかなっている。温暖化がさらに進むいま、ためらっている男性も日傘を使わない手はないだろう。
■UVカット素材は輻射熱10度減
では、どんな日傘を選べばいいのか。
「日傘を使う目的は体温上昇を抑えて熱中症予防のほか、長期的には肌の光老化予防もありますから、紫外線の遮蔽率(UVカット率)や遮光率などの機能を吟味して選ぶことが大切です」(赤塚医師)
日傘には、UVカット素材を使用したものと、UVカット加工を施したものがある。後者は経年劣化で効果は少しずつ低下し、その“寿命”は2~3年とされる。選ぶなら前者がベターだ。
日傘の表の色や柄だけでなく、裏の色にも注意したい。アスファルトは照り返しがキツイためだ。生地の厚みや密度などにもよるが、黒や紺など暗色の方がUVカット率、遮光率ともに高い。
埼玉県は18年8月31日11時30分~13時30分に日傘の表面温度をサーモグラフィーカメラで撮影。当時は晴天で気温は11時に32.3度、13時に33.6度だった。日傘1は遮光や遮熱、UVカットに優れた素材で、日傘2はそうではない素材だ。日傘を設置して20分後の表面温度をサーモグラフィーカメラで計測すると、日傘2は48~50度だったが、日傘1は38~40度。遮光や遮熱に優れた素材は、輻射熱が10度ほど軽減されることが分かる。
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価格やデザインはさまざまで好みに応じて選んでほしいが、晴雨兼用の折り畳み式なら万が一のゲリラ豪雨にも対応できる。梅雨入り前のこの時季にベストな一本を探してみてはどうか。